現在は企業の多くが定年を設けていて、一定の年齢を過ぎると退社せざるを得なくなります。確かに年齢を重ねたことで若いときとは身体的能力において劣る部分もあるかもしれません。高齢になれば病気などのリスクも多くなるでしょう。
しかし、だからといって何もできない存在というわけではないのです。これまでの仕事の中で培ってきた経験や、生きてきた中で学び取ってきたことは社会でまだまだ活かしていくことが出来るはずなのです。若い人がまだ身に付けていないことについてカバーしてくれる存在として高齢者を活用していくことが、社会全体での課題といえるのではないでしょうか。少子高齢化が進んでいく日本では、将来労働力が大幅に不足することが見込まれています。ですが、高齢者の能力をうまく活用していくことによってまだまだ成長していくことは可能であるといえるでしょう。
もちろん高齢者となった人がそれまで携わってきた仕事の中で能力を生かしていくことが最も有効な能力の活用方法といえるでしょう。しかし、それ以外にも活用できる分野があります。
それは介護分野です。介護については人材不足の状態が長く続いています。待遇の低さがその理由です。若い人が家庭を支える収入を得ることが難しい仕事であるといわれています。しかし、高齢者であれば年金などの基本的な収入があるため、待遇面でのハードルは低くなります。そのうえ、介護される側との年齢差が少ないことから、細かいところまで気がついてケアが出来たり会話が成立しやすくなったりといったメリットがあります。
こうしたことは介護される側にとってもうれしいことですし、介護する側の高齢者にとっても生きがいとなっていくのです。仕事をして人に感謝されるという事は大きな喜びにつながるのです。こうした仕事を通した生きがいを持つことはその人が人間らしく生きるうえで必要なことなのです。
高齢者を活用することで、今後起こりうる労働力の問題、介護の問題といった多様な社会問題を縮小していくことが出来ます。そのためには高齢者だからといって軽く見るようなことは避けるべきです。一人の人間として尊重して行くことは必須です。その中で、高齢であってもできることと高齢だからできないことを見極め、補助していくという事が重要になります。
もちろん若いスタッフの力やサポートも重要ですが、力仕事の必要な場面での機械の導入などが今後は進んでいくことになるでしょう。高齢者が働く場を持ち元気に活躍できる社会になることで、要介護者を減らすことにつながり、介護問題も解決へと進んでいくことになるのです。