高齢化社会の介護職員は今後待遇改善と給与アップに期待

介護が今後の日本を救う

2015.10.19

待遇改善、給与アップの期待

国のバックアップが手厚くなった

近年の高齢化社会に伴う介護職員の不足に対し、国も対策を講じていないわけではありません。今までも「介護職員処遇改善加算」という制度自体はありましたが、この度その制度が見直され、今までよりも手厚い支援が可能になりました。
具体的には、介護事業者に対し、職員の処遇を改善する場合の国が支払う報酬額を上乗せするものです。もちろん、国の基準に従って待遇が改善されているのかチェックを受ける必要があります。このため、その上乗せ分を従業員のお給料として反映することができるのです。

国のバックアップが手厚くなった

クリアすべき要件とは

介護職員処遇改善加算による増額は国民の税金などが財源になっています。そのため、むやみやたらにどんな事業者でもこの制度を使えるわけではありません。国は、条件を二つ設定しています。
一つは、キャリアパスです。職員がキャリアアップすることでよりよい条件で、やりがいのある仕事ができることと定めています。これをクリアするには役職につくための条件を細かく設定したり、役職毎の給与体系が決まっていること。また、それを就業規則などで周知徹底することが求められます。
二つ目は、職員のキャリアアップをバックアップする体制をつくることです。研修制度を整備したり費用補助などの支援体制があることも条件になります。
他にも、非正規雇用から正規職員へ転換すること。職員の負担軽減のため介護ロボットなどの設備投資。育児の支援。事故やトラブル軽減のためのマニュアル整備なども盛り込まれています。

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「介護職員処遇改善加算」の実情

これまでの介護職員処遇改善加算では最大でも1.5万円の昇給でしたが、改正によって2.7万円まで昇給が可能になりました。これにより、介護の大手企業は揃って賃上げを決定しています。大手が賃上げすることで業界全体の給与アップにもつながると期待されています。そもそも、介護業界の平均給与額は全産業から見ても10万円ほど低いと言われています。それもあってか、人材不足はなかなか解消できていません。また、この改正は、昇給だけでなくキャリア支援や労働環境の整備も含まれていますから、広い意味で介護職員の大きな期待となるでしょう。
ただ、残念なのが、この制度は介護職員のみが対象となっています。多くの介護施設では介護職員の他にも看護師や調理師などが働いています。そのような職員については対象外となってしまうため事業者の負担は逆に増えてしまうのではないかと危惧されています。また、介護報酬も引き下げが行われているため、事業者からすると必ずしも歓迎された改正とはいえないのが実情のようです。

「介護職員処遇改善加算」の実情

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